音楽は、いつもそばにあった
音楽は、いつもそばにあった
音楽が「人生を変えた」と言うのは、
少し大げさな気もしている。
でも振り返ってみると、
人生が動き出した瞬間には、いつも音楽があった
と思う。
音楽が好きになる前の自分
10代の頃、
最初から音楽に詳しかったわけじゃない。
流行っているものを聴いて、
友達の話を横で聞いて、
その延長線上に音楽があった。
「音楽が好き」というより、
まだ、どこに向かえばいいか分からなかった
という感じに近い。
Air JAM 98の、あの瞬間
今でもはっきり覚えている。
Air JAM 98で、
Hi-STANDARDのライブが始まった瞬間。
土埃が舞い上がって、
足元が見えなくなるモッシュピット。
座席という発想が最初から存在しない、
オールスタンディングの空間。
周りには、
今まで出会ったことのない
パンクスたちがいて、
正直、ちょっと怖かった。
でも、
ステージから放たれた
Hi-STANDARDの音とエネルギーが、
その恐怖を一気に塗り替えた。
あの瞬間、
「これは、今まで知っていた世界じゃない」
と身体で理解した気がする。
覚醒、という言葉がいちばん近い
感動した、というより、
覚醒したという感覚に近い。
音楽が
「聴くもの」じゃなく、
「身体ごと巻き込まれるもの」
になった瞬間だった。
10代の自分にとって、
あのライブは、
世界の見え方を一段切り替える
スイッチみたいなものだった。
音楽が、生活に入り込んでいった
それ以降、
音楽との距離は一気に縮んだ。
CDを買って、
ミックステープを作って、
友達と交換する。
誰が何を聴いているかが、
その人自身を知る手がかりみたいになっていた。
音楽は、
趣味というより、
生活の一部になっていった。
音楽は、いつもそばにあった
音楽から完全に離れた時期は、
実は一度もない。
聴き方や聴くアーティストは変わってきたけど、
音楽がそばから消えたことはなかった。
ライブにも行き続けているし、
今も新しい音を探している。
ミュージックバーで、
知らない音に出会う時間も好きだ。
音楽を、外に連れ出すという感覚
音楽を外に連れ出す、という
ウォークマンのキャッチコピーがあったけど、
自分はずっと
その言葉どおりの生活をしてきたと思う。
部屋の中だけじゃなく、
街や、人のいる場所や、
移動の時間ごと、音楽がある。
音楽は、
聴く対象というより、
一緒に移動する存在
みたいな感覚に近い。
音楽との、今の距離
音楽は、
人生を変えたわけじゃない。
でも、
人生が動き出した瞬間にも、
立ち止まっている時間にも、
いつも音楽があった。
これからもたぶん、
音楽を外に連れ出しながら、
その先へ歩いていくと思う。


